『冗談……』と言った直後、からかい眼からほとばしる熱を帯びた眼にガラリ変換するのを目の当たりにした私は、息が止まりそうなほどドキン! と驚いた。

もうずっと雲の上の人のような存在だった先輩に急激にリアルに男を感じた私は、逃げたい感覚に襲われた。

先輩は、チャラ男のような遊び人じゃないと知りながらも、今まで見たことないほど色気を醸し出す男の眼差しに、急に怖くなり一抹の不安がよぎる。


「ごめん、本気じゃ……本音だけど、わかってる大丈夫。俺、本気で美愛を大事にしたいから決して焦ったりしない。どうか俺を信じてほしい」


この強張った表情から私の心情をすぐに読み取ったのか、焦った様子ながらも強い想いをはっきりと伝えてくれた。