*Dear……*~ハイスペック男子と甘いLove Storyを~

……まさか先輩に聞かれた?

二階は、お客様が使用する施設しかなく、平日で挙式のない夜に人がいることはまずないから、すっかり油断していた。

だいたい真っ暗だし、しかも先輩がいるなんて思うわけがない。

一階に降り立ちこちらに歩いて来る先輩の視線は、怖いくらい真っ直ぐ課長に向けられている。

チラリとも私を見ない。

……怒ってる……よね?

誰が見ても今の先輩は、怒ってる。

鬼みたいに角出してる……なんて可愛いもんじゃない。

美しすぎる少し切れ長の黒い瞳には、凄まじいほど燃え盛る怒りの炎を一切隠すことなく映し出している。

いつも穏やかな微笑みを浮かべ、紳士の先輩からは信じられない。

その目に映す全てを一瞬で燃き尽くしそうな目に、ただただ驚くばかり。