*Dear……*~ハイスペック男子と甘いLove Storyを~

「何? ……頼む、言って」


課長に切実な表情で懇願され、胸の中にどんどん切なさが積み重なり少しでも早くこの場から逃れたくなる。

もう恋ではないけれど、大好きな課長の今にも泣き出しそうな顔を目にするのは余りに耐え難く、
課長よりも先に大粒の涙が溢れ出してしまいそう。

私は、もうこれ以上課長に見つめられるのに耐えられず、一刻も早く逃げ出したくて堪らなくなった。


「ごめんなさい。…………本当にごめ!?」


唇を震わせ懸命に堪えながらも、ポロポロッと哀しみの粒を落としてしまった私は、悲痛な顔で謝りを入れた。

でも一度では物足りなくて二度目を口にする途中、いきなり大きな両掌に耳を覆われると、傾いた課長の唇が、力なく緩められたこの唇に近付いてきた。

驚いた私は、目を見開き固まってしまう。