*Dear……*~ハイスペック男子と甘いLove Storyを~

あの時は、まさに看コロ状態。

課長が異動してポッカリ穴が空いた隙間を、類の真っ直ぐな気持ちが埋めてくれた。

短期間でどんどん惹かれていった。

でもそれだけじゃない。

一番の理由は、課長に結婚願望がなかったこと。

だから異動を機に忘れる決心をしたんだから。

だからこそすぐに類を受け入れた。


「まだ彼のこと好きなの?」


課長は、この腕を掴む手に少しだけ力を込めると、俯き黙り込む私を説得するように覗き込んでくる。


「上手くいってないんだろ?さっさと別れてまた俺を見てほしい。マジ綾瀬と五十年後もずっと一緒にいたいんだ」


この言葉に私の心は激しく揺れ動いた。

私の未来を求めてくれる言葉に驚くほど揺り動かされた。

そして気付いた……

強く求められることに酷く飢えている自分に。

先輩のように曖昧な言葉でなく、強くはっきりと意思表示してほしかったと気付く。