「勿論です。……大好きでした。でも結婚願望ないって豪語してたし、私は恋愛対象じゃないと思って。……本当ですか? 私をって。課長の勘違いじゃないです? そんな気配全く感じなかったですよ」


課長は、私の言葉に何ともいえぬ切ない瞳を返した。

そしてすぐに瞼と長い睫毛を落とす。

……課長の思い過ごしだよ。

今更、そんなこと……もう終わった恋なんだから。


「ま、いいや。綾瀬の新しい恋……応援してる。正直、綾瀬で嬉しい」


その言葉と笑顔は、突然冷たい風が吹き抜けた心にぽかぽかの春風を呼び込み、切ない心を瞬時に暖めてくれた。