｢超いい仕上がりでしょ。……副社長が、綾瀬を依頼してきた理由がわかったわ｣


周囲に気を使った小声に顔を上げると、課長はまさに母親が子供を見守るような表情でパンフを見ていた。

この表情から、二人が本当に姉弟であると確信することが出来る。


｢……副社長が、私を？｣


｢綾瀬は、初め休日だったからNG出したんだけど、絶対に綾瀬でって言われて仕方なく｣


課長はそう言うと、物凄く意味ありげに笑う。

……知らなかった。

私を指名なんて聞いてない。

本社サロンに依頼したら、たまたま私だったって感じの言い方してた。

……もしかして初めから私と撮影する気でいたの？

だとしたら嬉しすぎ！