嘘……先輩?

……先輩…………会いたい!

最後の力を振り絞るように、必死で右腕に力を込め肘で上半身を起こすと、玄関先から慌ただしい音と共に驚きながら私の名を呼ぶ先輩の声が聞こえてきた。

そして物凄い勢いでこちらに走り寄り、長い腕の中に私を招き入れる。

……鍵掛け忘れてた?


「美愛ちゃん! 大丈夫?」


「……先輩………会いたかっ……」


先輩の逞しい腕に包まれ、爽やかな香りと温もりにホッとしながら目を閉じていく。


「美愛ちゃん!? ……凄い熱」


ぐったりと先輩に身を預ける私の名を呼びながら、先輩の冷たい掌が熱いオデコを包んだ。