「やらかし伝説って?」


私が、大西課長の笑顔を見て懐かしい思い出に浸っていると、珍しく松岡君が参戦。

でも小声なのがまだまだ可愛い奴。


「あっ、完成? ありがとう~。じゃ、お礼は……カラダで返すか」


「結構です」


「バカか! お前は」


大西課長の大袈裟な呆れ顔に皆爆笑。

再び盛り上がりをみせる明るい部屋で、満面の笑みを浮かべて立ち上がり隣の肩を叩いた

瞬間、一瞬で顔がひきつる。

なぜなら海斗先輩が、ドアの前で目を点にして私を見ていたから。


「……課長~勘違いしてません? 肩のマッサージですよ。や~らし」


「なら俺に一番に恩返ししな。や~らしい方でな」


また爆笑の皆も、私の凝固の元に気付いたようで、次々と先輩に挨拶をしていく。

対する先輩は、室内を左から右へと見渡し、愛想良く笑ってお疲れ返しをしている。

ああ…… 今日も相変わらずイケメンだこと。

プランナールームにグリーンの爽やかな風が吹いてきた。

先輩がいるだけで、ガラッと空気が変わる。

天然のマイナスイオン発生中……

なんてレアなお方。

つい見惚れた私は、こちらに歩いて来る先輩に焦り気味に挨拶をする。