*Dear……*~ハイスペック男子と甘いLove Storyを~

「いいよ、本番に備えてもっともっと綺麗になるなら。……それに俺、離さないから。美愛のこと絶対…………幸せにする」


先輩も実に仕事に忠実だこと。

でも『絶対に』の後、何て言ったか聞こえなかった。

先輩は、何か呟いた瞬間、反対の西の空を見上げる。

たぶん我に返ってなりきりの自分に一気に恥ずかしくなったってとこ?

ちょいと聞き直そうとした時、ふと人影に気付いて振り向くとさっきの若い二人が私達の前に来ていた。


「あの……おめでとうございます」


「……ありがとうございます」


彼女の少し遠慮がちな祝福に、先輩は本物の新郎みたく幸せ溢れる笑顔で返すから、私も慌てて作り笑いをして頭を下げる。