*Dear……*~ハイスペック男子と甘いLove Storyを~

そんなこと考えながら先輩を間近で見上げていると、先輩は"何?" って顔で見てくる。


「急に柑橘系の香りがして」


「ああ」


納得の表情で相槌を打つ。


「ついさっき高崎さんに付けられたんだ。女性を虜にする香りって。まだ美愛が、俺の虜になってない
ってことじゃない?」


少し拗ねた表情で唇を緩やかな三日月にする先輩に、少し切ない想いが心の空に浮かび上がる。


「これ以上虜にされたら、後戻り出来ない……」


「……」


先輩の緩やかな笑みに、つい油断して出来た心の隙間から嘘偽りない心が顔を覗かせる。