*Dear……*~ハイスペック男子と甘いLove Storyを~

そしてしばしの沈黙。

……こんなふうに優しくされると胸が切なくなる。

なぜなら儚すぎる優しさだから。

……シンデレラになった気分。

後、数時間で魔法は解けていく。

一日限定の恋人……。


「美愛……」


労りのこもる優しい声に、涙が浮かぶのを必死に堪えた。


「これ……前撮りの定番ポーズ」


「だね」


そのままふたりで控えめに微笑み続けていると、通り抜けて行くちょっぴり冷たい風が、開き始めた心の扉を静かに閉じていく。

あのイブの前日にしっかりと鍵を掛けた心の扉を……。

私は、ゆっくりとオデコを離して空を仰ぎ目を閉じる。