「いやだ!父さん行かないで!」
ああ、またこの夢だ
何度見ただろう
「どこ行っちゃうの…!」
この先もよく覚えてる
父は何も言わずその大きな背中を自分に向けて足を進めた
その右側には大きなスーツケース
食い止めようと必死にしがみつくが自分の何倍もある大きな体に勝てるはずもなく軽く振り払われてしまう
その衝撃で前に倒れた自分の膝には赤い液体がポタポタと流れ落ちている
大きな一軒家の玄関に佇む小学生の時の小さな自分
何十分たっただろうか
そこに買い物袋を持った母が駆け寄ってくる
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