「え、どんな話?余計、気になる」

と、追いつめるように質問する、詩織。

詩織の目を見ると、キラキラと輝いている。

ーーーーーーこれ以上聞かないで、詩織。正直に、話したくないの。

私は、心の中でそう思った。

しかし、口に出さない限り私の思いは当然伝わることはなく、彼女は、「早く教えてよ」って促すように尋ねている。

「本の話だよ」

と、また私を嘘をついた。

仕事柄なのせいなのか、私は自分自身嘘をつくのが上手く思える。

「本の話?」

それを聞いた詩織は、首をかしげた。

「うん、そうだよ」

私は、首を縦に振って答えた。

彼女とのこの会話は、一回目にはなかった。

「でも私、あまり本読まないから彼と話が弾まなかった」

と、また私を嘘をついた。

ーーーーーーだって正直に言ったら、私たち、もう会えなくなるんだよ。

友人に嘘をつくのは辛かったが、それ以上に今のこの幸せが潰れるのは嫌だった。