「でも、犯人は捕まったし、本当によかったよ」

優太は微笑んで、私に言った。

「私も同じよ、優太」

ボソッと私は、今の気持ちを誰にも聞こえないぐらい小さな声で呟いた。

「なぁ、梢。今度は、お酒飲みに行こうなぁ!」

ーーーーーードクン!

彼に再び下の名前で呼ばれて、私の心臓がドキドキと激しくなる。

彼はまっすぐ私を見つめており、私の顔がかっと熱くなった。

ーーーーーーまた、私のこと〝梢〟って呼んでくれたんだね。下の名前で呼んでくれたんだね。うれしい。

ドキドキと一秒ごとに加速する、私の心臓の鼓動。それと同時に、私は今この瞬間が涙が出るぐらいうれしかった。

「梢、なんか言ってくれよ。梢が飲み屋嫌だったら、別に俺は他の場所でもいいんだぜ」

彼がまた、私のことを〝梢〟って呼んだ。