タイムリープ

「優太って、呼んでもいいの?」

私は、不安そうな声で訊いた。

「いいに決まってるだろ。俺も、〝梢〟って呼んでるしな」

そう言って優太は、目を細めた。

「でも、私たちデートしてないよ。だから、彼氏と彼女の関係ないよ」

私は優太に言われた言葉を思い出して、彼に言った。

「そんなこと、誰が言ったんだ?」

優太は首をかしげて、とぼけた顔をした。

「優太が言ったんだよ!『俺たちデートもしてないのに、いつから彼氏と彼女の関係になったんだ?』って」

私はうるんだ瞳で、優太に言われたことをそのまま伝えた。

あのとき優太に言われた言葉が私の脳裏によみがえり、自然と涙が流れた。

「じゃあ梢、その言葉訂正してもいいかなぁ?」

そう言って優太は、私の背中に手を回した。

「え!」

優太の胸に顔を埋めた私は、頬が一気に熱くなった。

彼はもう死んでるはずなのに、ドクンドクンと優太の心音が私の耳にかすかに聞こえる。