タイムリープ

「じゃあ、消してよ!消してくれたら、優太と詩織にも会えるんだから」

そう言って私は、拳を握った。そして、神様の顔を殴ろうとする。が、

「梢」

背後から優しい声が聞こえ、私は後ろを振り向いた。

「優太、詩織………」

私は、瞳に映った人の名前を口にした。

私の瞳から涙が流れ、神様のつかんでいた手を離した。

「ゲホゲホ」

私が手を離したのと同時に神様が苦しげに咳をした。

「優太、詩織。どうしてここに………?」

私は、震えた声で訊いた。

なんだかものすごく二人に久しぶりに会ったみたいで、私の瞳から涙がこぼれる。

「天国に行く前に、そこにいる神様に頼んで梢と会わせてもらったんだよ」

「え!」

驚きの声を上げて、私は神様の方に視線を向けた。

「お前も、一度死んでるだろ。死んだ同士の人間なら、この世界では結び合わせることができる。ここは、〝死んだ人間〟しかこれない世界だからな」

神様は、私の胸に指さして言った。

神様の説明を聞いて、二人が交通事故で死んだことが現実なんだと突きつけられる。