苦笑しながら、美咲がゆったりとおれの首の後ろに腕を回した。 そして、おれの肩の上に自分の顎を置いた。 それから、まるで幼い男の子を扱うみたいに、おれの髪をやさしく撫でた。 美咲が一回、二回……と撫でていくうちに、おれの心がどんどん軽くなっていくのを感じた。 凍って冷え切って固まった心に潜んでいた、辛い思い出が、少しずつ溶けてほどけていくような気がした。