おれたちを乗せたゴンドラがゆっくりと上へ昇っていく。 上がっていくにつれ、ビルの内部のショッピングモールが一望となる。 よくもまあ、こんなに人がいるもんだ、と何気なく眺めた。 だが、考えてみれば、長らく続く不景気の中で、休日の昼下がりに、買い物を楽しめる人がこんなにいるっていうのは世の中にとってはいいことだ。 行き交う人たちの年齢はさまざまだが、みな一様にどことなく華やいだ表情をしている。 中には、紙袋を両手いっぱいに持たされた父親らしき人の仏頂面もあるが。