「だって、岡嶋の顔、全然変わってねえもん」
おれはそう言って笑った。
「この前、電車の中で偶然会った高校時代の友達にも、同じこと言われた」
美咲はサラダのキュウリを、フォークですっと刺しながらつぶやいた。
「なんか、成長してないみたいで微妙だわ、それ」
それから、キュウリを口の中へ入れた。
指でちぎったナンも、スプーンですくったターメリックライスも、フォークで刺したキュウリも、美咲がそれらを口に運ぶ所作は流れるように美しかった。
あの頃の面影を残したまま、美咲は大人の女性に成長していた。
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