「魚住くん、だれかと待ち合わせとかじゃなかったら、座ったら?」 美咲が自分のテーブルの向かいの席を指した。 「岡嶋こそ、待ち合わせとかじゃないのか?」 とおれが訊くと、 「だったら、食べてるわけないじゃん。一人だよ」 美咲の少し近寄りがたい整った顔がほころんで、人懐っこい笑顔があらわれた。 ……あの頃のままだった。