そして、苦笑した。 いつの間にか、ここに来さえすれば、「運命の相手」に会えそうな気がしていた自分に気づいた。 一気にバカバカしくなった。 おれはいい歳にもなって、いったいなにをしているんだろう。 ……時間のムダだ。帰ろう。 おれは振り返って、入ってきた扉に手をかけようとした。 そのとき、視線の端をなにかがかすめた。 おれは身を戻した。 自分でも、目が見開いていくのがわかった。 まさか……