わたしがまだ姫と呼ばれていたころ


以前、整体の先生(※ この「整体の先生」は、episode4整体(1)浄化 の「先生」)にもらったフランキンセンス(※ この「フランキンセンス」は、episode5整体(2)フランキンセンス)の遮光瓶を、机の一番上の引き出しの一番奥から取り出すと、姫はゆっくり栓を開けて香りを吸いこんだ。

「先生、ありがとう。今日も喜んでもらえたよ」

「よかったね。僕もうれしいよ。あなたが僕と同じ気持ちで、占いに向かい合ってくれて」

「だって、わたしたち……」

「そうだね」

最近では、先生に思いを最後まで心の中で言わなくても、通じ合っていた。

「先生、これからもわたしのこと……」

「うん、もちろん」

「ありがとう。またね」

「またね……」

「うん、わたしもよ」

姫は、名残惜しそうに瓶に栓をすると、小箱に元通りしまい、机の引き出しの奥にしまった。