わたしがまだ姫と呼ばれていたころ


姫は、カードをまた全部ひとまとめにして左手に持つと、浄化の意味を込めて、右手で拳を作り、中指でコンッとカードの真ん中を一回たたいた。
それから、テーブルの紫のクロスの中央にひとまとめにして置いた。
セットポジション完了。

次の相談者が部屋に入って来る前に、姫は冷めてしまった紅茶を一口飲むと、ふぅーっと大きな息をひとつ吐いた。

本日も、姫の直感は絶好調。
決して、押しつけがましい解釈はしない。
姫がカードから感じ取ったことと、相談者が抱くイメージが違う場合は、もちろん相談者の解釈を優先する。
なぜなら、占いは絶対ではないから。

本人の問題は、本人が答えを持っている。
ただ、姫はそれを引き出しているだけ。だから、よくカウンセリングみたいなタロット占いだと言われる。
それでいいのだと思う。