わたしがまだ姫と呼ばれていたころ


「リナ、ここまで観てきたけど、どう? 今もふたりとつきあいたい気持ちに、変わりはない?」

「ううん。カレと別れる」

「そんな、今急いで結論出さなくてもいいけど」

「新しい人とはね、なんか最初から意気投合っていうか。気を遣わなくても、何でも言えるの」

「それはいいことよね。太陽は、満たされる喜びとか、告白して上手くいくとか、肯定的な意味が多いから、リナが本当に自分らしくいられる相手と一緒に居ることを応援してくれると思うわ」

「ありがとう、姫。なんだか勇気がわいてきたわ」

「良かった。いつものリナに戻ってる」

「え? どういうこと」

「最初、この部屋に来たときの、ドヨンが消えてる」

「わたし、ドヨンってしてた?」

「うん、珍しくね」

「さっそく、これから新しいカレに電話してみるわ」

「気が早いわね、相変わらず。……そういえば、運命の輪には、すばやい行動っていう意味もあったわ」

「そうなの? いろいろありがとね、姫。次の人、待ってるよね。声かけてくる」

「うん、リナのこと、わたしも応援してるよ」