このときの表情を、相談者に読まれないようにすること。姫はいつもそれに気を付けている。
だから、高校の文化祭で占い館をしたときは、紫色の大きな風呂敷を頭からすっぽりかぶった。
そうやって目だけ少し覗かせることで、表情を読まれないようにすることができた。
また、ミステリアスな占い師っぽさを出すための演出としても、当時は十分役立った。

今は、ある程度訓練したので、顔を出していても、目の微妙な動きに気をつけていれば大丈夫だ。
恋する乙女は、占い師の一挙手一投足に注目している。
いくら死神や悪魔のカードが出たとしても、こちらはポーカーフェイスでいなければならない。
これが、姫の持論だった。

まぁ、そのようなカードが必ずしも悪い意味であるということはないが、一般に絵柄だけ見るとインパクトもあるし、「怖い」とか「これはもうダメ」とか、誰だって思ってしまうだろう。
もちろん、カードの向きによっても、意味は変わってくる。