先生は穏やかな笑顔で姫を見つめている。
「子どものころ、誕生日とクリスマスが同じで、損したような気がしてた。みんなはケーキを二回食べられるのに、わたしは一回だけだなんて不公平だって。おかあさんだって、十二月になったら、わたしのことなんて放ったらかしで、いつも教会のお手伝いばっかりしてたし……。おかあさんはわたしより教会が大事なんだって、ずっと思ってた」
「おかあさんはね、教会を大事にすること、イコール、あなたを大事にすることって思って、ずっと生きてきたんだ」
「そんなのわかんないから、おかあさんとはいつもケンカしたり、ギクシャクしてたりで、辛かったわ」


