臆病なきみはうそをつく




それから泣いて、泣いて、泣いて。

もうこれ以上涙も出ないとなったとき、

私は再びスマホを手にした。


まず、ずっと更新が止まっていた例の小説の続きを書き始める。

あとわずかで完結のため、数日中には完結出来るだろう。



……そうしたら、新しい小説を始めるんだ。



***


3日後。

私は小説を完結させ、そのランキングを確認することもなく、新しい小説を書き出した。

自分の思いを文字に変え、ただひたすらに打ち込んでいく。

いつもいつも、この瞬間はドキドキする。



『君の小説には君がいる』



冬室くんの言葉が頭をめぐる。



そう、ここには私がいる。

臆病で、自分勝手で、劣等感まみれで


そして、あなたに恋する私が。


あなたは私を応援すると言った。

そして、自分も頑張ると。


それはね、私も同じ。

強くなろうとしているあなたを応援しています。

そして、私も


私だって頑張ってみせる。


届け、届け、届け。


臆病な私の。

うそつきな私の。


うそみたいな本当の気持ち。


どうかどうか

あなたの支えになりますように。