臆病なきみはうそをつく



「………冬室くん…………」


ぽたり、と

スマホの液晶に涙が落ちた。

それは次々と画面を濡らし、私の顔もぐしょぐしょにしていく。


「………冬室くん、冬室くん………」


ひどいよ。

なんてひどい人。

優しくて、ひどい人。


私に優しくするだけ優しくして

これだけ好きにさせて

どうして勝手にいなくなってしまうの。


別に、強くないあなたでもいいの。

あなたが自分で自分を守れないときは

私があなたを守ってあげるから。


だから、そばにいて欲しかった。

いつまでも一緒にいたかった。


それだけだったのに。