悩みながらも、私は結局アプリを再び開いた。


それは冬室くんとの約束というより、自分の読者が気にかかったからかもしれない。

しばらく更新しなかったからランキングは下がっていたが、コメントはたくさんついていた。

ほとんどが更新を希望するものばかり。

どうなっているか心配だったあの人からのコメントはなかった。


(………あれ、珍しい。ファンメールがきてる)


ファンメールとは、サイトの機能の1つ。

読者から作家にメールを送れるというもの。

内容を他の人に見られないし、長文を送れるという利点はあるが、そのせいで作家へ嫌がらせメールを送るクレーマーが一時期いたらしい。

そのためメールを受け取り拒否にしている作家が多く、廃れた機能の1つだ。

私はほとんどメールが来ないこともあり、なんとなく拒否せずに放っておいていた。


(……誰だろう)


もしかしてあの人かとドキリとしたが、ユーザー名は全く違っていた。

私の初期の頃からの読者の人。

一度、私が更新づけになっていたとき『無理するな』とコメントをくれた人だ。


(……何の用かな……。更新の催促とか?)


そんな風に思いながらメールを開き、次の瞬間、私は完全に固まった。