臆病なきみはうそをつく

結局、球技大会は3年生の優勝で幕を閉じた。

私たちは優勝こそ逃したものの、思ったいたよりも好成績を残せて、みんなそれなりに満足げだ。

担任から1人1つずつジュースをおごってもらい、そこで解散となった。



「よし、じゃあこれから打ち上げいこーぜ。カラオケでいいかな?」

「さんせーい!」

クラス委員の男子が先導を取り、打ち上げの段取りを始めていく。


でも私はクラスに馴染めていないから関係ない……そう思い、教室を出ていった。


でも

「……あ、ねえっ、笠原さんも打ち上げ行こうよ」

同じように教室を出てきた奥田さんたちに、そう声をかけられた。


「……え、…わ、わ、私……」

「そうそう。笠原さん、今日頑張ってたじゃん。
それにさ、うちら笠原さんとゆっくり話したいと思ってたんだよねー」

「………」

「………ね、行こうよ」

「…………あ、ありがとう……。嬉しい。
でも、今日はその……ごめんなさい」


私は小さく頭を下げる。


「………私………冬室くんが心配だから………」


見えたのだ。

廊下の窓から

中庭のバスケットゴールの前に立つ、彼の姿が。