(……あ、もうイイネがついてる)


さっき更新した小説が、もうそれなりの人数に読まれていることと、評価を表すイイネがかなり増えていることに一気にテンションが上がる。

それだけで、教室の騒がしさにイライラしなくなった私は、かなり現金だ。


(…ふふ。感想のコメントも来てる。昼休みに返事しようっと)


そうしているうち、チャイムが鳴って教師がやって来て、授業開始となった。

黒板の内容を書き写しながら、私の頭は小説の続きをどうするかでいっぱいだ。

不真面目な行いなのはわかっているけれど、おかげでつまらない授業中ですらも楽しい。


そう…
私は、小説というたった一つの趣味のおかげで、つまらない毎日が楽しいものになっているのだ。


…小説を書き始めたのは、半年ほど前。

ちょうど2年生に進級したての頃だった。

クラス替えで、少し話せていた子達とバラバラになってしまい、完全に孤立していた私。

ある日の休み時間、近くの席の女子グループが、とあるアプリの話で盛り上がっているのを耳にした。

それは、素人が小説を書いて発表したり、それを読んだり出来るアプリ。

もともとはインターネット上のサイトだったのだけれど、人気のためアプリ版も存在するとのこと。

彼女たちはそこで読める小説にハマッているらしく、『泣ける』だの『切ない』だのしきりに話していた。