「………!」


不意討ちとも言える言葉に息をのんだ。

胸がドクンと跳ねたのがわかる。


冬室くんは穏やかな笑顔を浮かべているだけで、特に照れたり焦ったりしているようには見えない。


(……なに。何なのよ。)


どうして、そんなこというの。

どうして……私なんかと一緒にいたいの。


私のこと好きだなんて、……うそなくせに。



何も答えることが出来ずに固まっていると、冬室くんはまた何やら書きはじめた。


『ところで

笠原さん、すごく真剣にケータイいじってたけど

なにしてたの?ゲームとか?』


「………!!」


そうだ。

更新しているとこ、バッチリ見られていたんだ。

どうしよう。小説書いているなんて知られたくない。


『そう。ゲームしてた』


いい言い訳が思い付かず、冬室くんの言葉を借りる形で苦しい返答をする。

でもまずい。

本当は全然ゲームしないから、詳しく突っ込まれたら何も答えられない。


……そんな私の心配は、鳴り響く予鈴によって解消される。

昼休みが終わったのだ。


「……戻ろうか」


冬室くんはノートではなく実際に声を出してそう言った。

図書室で発するには大きめの声だったが、昼休み終わりで騒がしい今、気にする人は誰もいない。

私はこくりとうなずき、冬室くんとともに教室へもどる用意をした。