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その日の昼休み。

コメントのことは引っ掛かっていたが、やっぱり更新はしたいと思い、お弁当を急いで食べると図書室へ向かった。


昼休みも開放されている図書室は、あまり人もいないし、静かで小説を書くのにはちょうどいい。

隅の方に座り、カムフラージュの自習道具をひろげてから、スマホを操作する。

ひたすら指を動かして、頭に浮かぶ物語を文字に落としていく。

この時間がかなり気持ちいい。

トリップ感……というのか。学校にいることも忘れて、物語の世界に没頭できるのだ。


……そう。

更新しているときは、ひたすらその世界に入り込む。

だから、……私の向かいに誰かが座ったことに、すぐには気付けなかった。


(……よし、更新できた)


一息ついて、ふと顔をあげる。

……と。


「……っ!」


思わず叫びそうになってしまった。


「…………」


私の向かいでニコッと笑い、軽く頭を下げる男子生徒。

いつの間にか、冬室くんが私の前に座っていた。