「び…っっっっっ…くりした……!!!!」


家に帰った私は、ベッドの上で身もだえる。

今ごろになって、胸の鼓動がどんどん早くなっていった。


「……冬室くんが、私を……好き?」


今でも信じられない。

私が誰かに告白されるなんて。

しかも、…冬室くん。


「……冬室くん、か……」


私へ向けられた微笑みを思い返す。

色白で細身の、繊細な容姿。

でも黒目がちの目に、サラサラの髪の毛。

綺麗な人だと思う。

……少なくとも、私よりずっと。


「…………」


ベッドから起き上がり、鏡の前に立つ。

そこに映る私は、いつもと全く変わらない。

冴えない……どうしようもなく地味な私。


「………やっぱりブス」


こんな私が、どうして誰かに好かれると言うのだろう。

やっぱりうそだ。

冬室くんは悪い人ではないと思うけど、あの告白はうそだ。


あの時みたいに………。



『……笠原さんのこと、好きなんだって。良かったね』



あれは、苦い、うその記憶。


「…うそつき」


もう何年も経っているのに。

まだ胸がチクチクする。