ヘッドライトを灯して近づいてくる様は、誠に圧巻である。

 そんな幻想的な考えにふけこむ私だが、これは日常風景に過ぎぬ一コマ。

 これから緑と青の鮮やかなストライプを真っ直ぐに描かれた純白の箱に乗り込み、埃臭い紺色のベンチシートに約40分間も座り続けていなければならない。


 鉄道に電線の張られていない非電区間と呼ばれるローカル線の列車を利用し、30km程離れた田舎の高校へ通学するのが私の日課だ。