人口約10万人が住む北海道の中都市で平凡に暮らす事は、1360万人が住む日本の首都で生きる事と何が違うのだろうか。


 重たい瞼を擦った指を広げて、その手を平で吐息を受け止める。


 決して掴んで手に取ることの出来ない吐息が白く色付いて、宙で透明に消えていく。


 雪化粧を纏った地から顔を出した鉛色のレールが2本、平行に並んで延々と伸びている。


 地平線を境に途切れた石北本線のレールの果ては一体、何処にあるのだろう。


 私は"果て"を知りたい衝動に駈られて堪らない。


 只、今の私は物理的に存在するレールの果てを知りたい訳ではない。


 御託を並べるのは好きではないが、言うならば軌道に従う"鉄道"の存在意義が、私には理解しかねる。