翌日



松本先生の間借りしている家へ

幹部達にも話をしていない
決断を口にする



「紅音を妻にしたいと2度と口にしない
だから…新選組で女中をして欲しい
帰って来てくれ」



紅音は、俺から松本先生に視線を移した



「ほらね」



松本先生が、紅音に微笑む
先生は、俺が来ることを予想していたんだろう


「残念だが、君を雇うことは、出来ない」


次に紅音は、近藤さんを見た


「昨日は、言い過ぎたよ
歳が君の案を一つ選んだ
これで、問題ないだろう?」


「やりたいことが出来た
今日は、松本の仕事をみてみたい
明日は、社を見に行きたい」


「では、明日
護衛をつけよう
社を見たら、帰っておいで」



「わかった」




紅音がやっと見つけた関心は医術

山崎と一緒に、熱心に学んだとか




「喜んでたで!
病を治す方法を今まで知らなかったんやて
松本先生が困るほど、めっちゃ質問攻めや
あんな生き生きした紅音は、初めてや!」



興奮気味に報告する山崎が




「新選組の為にも、紅音には医術を学ばせるべきや!!」



そう叫び、俺が指南する!と鼻息を荒くした



翌日の護衛は、斎藤に頼んだ




「少し荷を出し、持ち帰りました
変わった様子はありません」



山崎とは、真逆の
静かな報告だった



俺をとしさんと呼んだ紅音も
再会した紅音も
記憶を消した紅音も
今の紅音も



同じ紅音だが


会う度に、良いようにみていた

また、俺に惚れてくれて
今度こそ、夫婦になって

どこにいても迎えに行ってやりたかった