足元に気をつけながら

紅音を感じる奥の部屋に向かう
  


ここだ



襖を開けて驚いた
この部屋だけは、ピカピカだった



文机に向かい
ウトウトしていた

「紅音!!」


「誰だ…なぜ、私の名を知っている?」


口調が違う… 俺がわからないということは、記憶を消したのか



「紅音、迎えに来た」


「私は、疲れた……眠い
お前など知らぬ……出て行け」


「なんだよこれ…」



力を使いウトウトしながら、机にある
文を読んでいたらしく

その文には



〝社と共に終わりを迎えろ
ここから出てはいけない〟




まだ、墨が乾いていなかった





「紅音」



無防備に、スヤスヤと眠る紅音の頬に
手を添えた



「いつも……傷つけて、ごめんな」