山崎を外に出した日

大阪組から、応援の依頼が来た


「山崎君がいないと道がねぇ…」



どんなに早くても、3日は帰らない


「あ… 梅結乃とかどう?」


藤堂が、道案内役に思いついた
梅結乃の名に、全員が賛成した



「どうしてそんなに、勝手なの!?
道案内なら、そこら辺の人に頼んだら!?」


「俺たちの評判知ってるだろ」


「知ってるわよ! 自業自得でしょ!
私は、女将さんのお世話があるの!」


「あら、梅結乃
大阪に行きたいって言ってたやないの
行っておいで」


「……」


女将が俺に目配せをする



「お前は、俺たちが守るから
ただ、道案内してくれればいいんだ
よろしく頼む!」


「道案内ね… わかった」



物凄く嫌そうに、了承してくれた




梅結乃が奥に戻って行くと
女将が、クスクス笑いながら



「土方はん、梅結乃にほの字やろ?
わかりやすいわぁ」


「……別に、仕事頼みに来ただけだ」


「副長が、わざわざ?」


「……皆が、行けって言うからだよ!」


「おや!?公認かい?
そりゃいいねぇ~」


「俺には、君菊がいるし、子供も産まれる
ヘンな噂たっちゃ、困るんだよ」


「他所で、言いまへん
土方はん、いつもイライラしてんのに
梅結乃と話をしてたら、優しいお顔やな
って、思ったんや
気に障ったら、すんまへん
せやけど、心は正直なもんやで
あ!いらん世話やな!
ほな、梅結乃に怪我させたりせんといてや」


「ああ ちゃんと連れて帰る」




まったく!
仕事頼みに来て、惚れた腫れたなんて…



そんなに、わかりやすいのか…?





屯所に戻ると



「梅結乃、屯所で女中しねぇかな」

「いて欲しいよなぁ~」

「土方さんが、前みたいに笑ってくれたら
本当、新選組は安泰だ!」

「土方さんと梅結乃が、恋仲になったら
いいのにね」





……わかりやすいようだ






「帰ったぞ」


「どうでした!?」


「道案内してくれるってよ」


「よかったですねぇ~」


「梅結乃と旨い物、食べに行こうな!」



俺に立ち聞きされたとは、知らず
のん気な奴らだ

まあ、縁側で普通に喋ってりゃ
隠してる訳でもねぇか





気になる…


俺は、どこで梅結乃に会ったのか







ただ、気になるだけだと思おう