紅音にちゃんと謝らなければと
改まって、向かい合う


「痛い思いをさせて、すまねえ
俺が、紅音を守るって言ったのに」


「守ってもらっているだろう
私は、何度も助けてもらった
恩返しをしたかった」


「恩返しついでに
頼みがあるんだ…原田のとこ
子供が生まれてよぉ
産後の世話を頼みたいんだ」


「わかった」


「住み込みで…」


「わかった」


「俺は、顔出せねえけど
さみしかったらこっちに顔出せよ」


「…?わかった」



しばらく、紅音を屯所の外に出そうという
ことになった

丁度、原田の妻が産気づき

これを口実に原田の家に預けることに



世の動きが、不透明な中

紅音を屯所におくと

また、治療をさせてしまう


痛みしかない紅音に


そんな辛さを感じて欲しくなかった




「紅音…」



名残惜しく、紅音の頬を撫でる



「あまり、皆に当たるなよ
私がいないと鬼のようだと
皆が怖がっていたぞ」


「紅音… 落ち着いたら迎えに行く」


「来なくて良い」


「俺が迎えに行きたいんだ!!!」


「いや、来るな」


「なんでだよ!
俺が迎えに行くまで、いつも
泣いてたじゃねぇか!!」



え?




自分で口走って、驚いた


「私は、泣いてない」


人違いじゃない


俺の頭には、泣いてる紅音がいた


「行ってくる」




間違いなく紅音だ







紅音だが…

確かに出会ってから、涙を見ていない











「疲れてんのか…?」










不思議な感覚だ


紅音と離れた翌日




「やっぱり紅音がいないとダメですね」





俺の稽古を止めに来た山南さんが
呆れていたが


イライラが止まらないんだ




胸にデッカい穴があいて



苦しいんだ