「副長~こっちは、異常なし…えっ」



土方の後ろから永倉新八が来て固まる


「すげっ 別嬪…」

「永倉 奥の部屋見てこい
俺は、娘の縄を解く」

「おう!」





キツく縛られていた縄のせいで
白い肌には、くっきりと痣が出来ていた




「大丈夫か?」


娘は、凜としていて
至って平静だった

土方に視線をやると



「私をさらうのか?」


「助けるんだ!」




言葉の意味を理解しようと

娘が首を傾げていると




「くっそぉー!!
女!!俺を助けろ!!」




バタバタと男が部屋に入る


追いかけてきた永倉の隣には原田左之助


「もう、逃げられねぇぞ!」




土方が娘を背中に隠す



「私を庇っているのか?」


「当たり前だ」


「なぜ?そんなことしなくていい
私は、死なない」


「??? …俺が、お前を守りたい!
それだけだ!ジッとしてろ!」


「女!こっちこい!
俺の盾になれ!!頼む!助けてくれ!」






土方と飛び込んで来た男を交互に見る


「助けてやりたいと思わないし
助けてもらおうとも思わない」


「お前… 俺を助けろ!!」


「私は、痛いのが嫌いなんだ
お前の縛った手が痛い
それに…女に助けろだの
盾になれって…
男の言うことではないな」


土方の背中から、ひょいと前に出ると



「大人しく捕まればいい
こいつら強い、お前の敵う相手ではない」


「いいから!こいっ!」



往生際の悪い男が、娘に手を伸ばすが
原田から膝裏を打たれ、姿勢を崩し
永倉に首根っこを捕まれ
簡単に捕まった




「もう大丈夫だからな!行こう!」



娘の肩に土方が手を置く



「私は、ここにいる」


「こいつらの仲間に捕まるぞ!」


男を永倉と原田が連れて行く


「猫…私の猫がまだ帰ってこない
私は、猫と一緒でなければ
ここから動けない」



廊下で永倉達が話す声



「すっげえだろ!?この猫の目!
夜なのに、青空みたいに綺麗だぞ!」



土方と娘が廊下に出ると
藤堂平助が真っ白な猫を抱いていた



「うわっ」



藤堂から飛び退いた猫は、娘の腕へ




「よし!行こうか!」


「どこに?」




「新選組の屯所だ」