平隊士の妻は、目隠しをされていたが
なんとなくここじゃないかと
屋敷に目星をつけていた



「間違いないで!この前の男がおった!」



山崎が、内部を下見して報告した




「ここに、紅音がいる」




土方が呟いた







「歳、中に入ったら
すぐに紅音を捜すんだ
1番に駆けつけてあげなさい」


「おう!ありがとうな!かっちゃん!」


「土方さん!近藤さんでしょ!!」


「おお、そうだった」


「クスクス やっぱり紅音さんがいないと
駄目ですね」



近藤の名乗りを合図に、一斉に中に入る


土方が蒼について走る



「にゃあ!」



蒼の鳴いた部屋の襖を開け

土方は、すぐに羽織を脱いだ

裸で倒れている
白いはずの紅音の肌は、傷だらけで
血に染まり

酷い有様だった



「紅音!!しっかりしろ!!くっそぉ!!
俺の妻になんてこと…」


縄を斬り、紅音を腕に抱く


「……土方?なんで……」


「蒼が連れてきてくれたんだ」


「にゃっ!」


「蒼……無事で、よかっ……た」


「紅音!!すぐ治療してやるから!」


「いい…治療は、傷になる
私は……死なない……死ねない……」


「紅音?紅音…」



土方の腕ですやすやと寝息をたてはじめた




「寝ないって、言ってたのに…」




土方が紅音を抱え、部屋を出ると



全員が息をのむ



「寝てるだけだ」



土方が言うまで
間に合わなかったと思っていた




「よかった……」