「桜は、いいな…
長生きしてんだろ
俺が桜なら、妻になってくれるか?」


「はぁー お前おかしい
どうして、私を妻にしたがる?
この桜は、まだ小さな芽の時から知ってる」


「幼なじみみたいなもんか?」


「私の方が年上だ
それに、桜と遊んだり、妻にならぬ」


「なら、やっぱり俺の妻だな」


「ならぬ」




紅音が皆の方へ歩く

その後ろを追うように歩く





「口説いていたのか?」


「そうなんだけど… またフラれた」


「歳、紅音は、いい女だが
歳に気が無いんだろ?」


「今は、な?
これから、わからねぇだろ!
120年も時間がありゃ
どうにか落とせると思うんだけど」


「……そんなにかかるのか」


「かかるかもなぁ」



近藤さんは、何か手助けが出来れば
と、一緒に悩んでくれた



「俺としても、紅音が歳と夫婦になってくれたら、安心なんだ」




近藤さんが言うのは
新選組を拝命してすぐ
筆頭局長の芹沢さんを暗殺した時
芹沢さんと俺で、取り合った女
梅を俺は、殺した

新選組の為に…

自暴自棄になりそうな精神を
どうにか保つ為、俺は鬼になった






あの日




紅音に向けた殺気

それを紅音は、吸いとるように
俺を見つめた


こんなに綺麗な女は、見たことがない



一瞬で俺の心を癒し、持っていったんだ







「あれ? 紅音さんは?」








総司の間抜けな声に、辺りを見回す



確かにいたはずの紅音が





消えた







蒼と一緒に…