「紅音がずっとここにいてくれたら
本当に平和だな!」


幹部に囲まれて庭を眺めるのは
毎日の恒例行事



「ここは、私がいなくても平和だろう」


「そんなことないんだって!!」


「お願い!!ここにいてよ!!」



春になり

暖かくなってきた日






「蒼?どこ?どこにいる?」


紅音は、蒼を探して

新選組屯所から出てしまった



探しているうち

見知らぬ男達に囲まれた



「やっとあいつらから離れた
捕まえたぞ 命(ミコト)」


人数で適わないと察した紅音は
抵抗せず後ろ手に縄をかけられた


「お前に大金を払ったんだ
お前は、我らの物だ
さぁ、籠に乗れ」




「ちょい待ち!!その子は、新選組の
大事な姫さんや!」


土方の忍 山崎烝が現れた


「すぐ皆、助けに来るさかい!
辛抱せぇよ!」



キョトンとする紅音



そして、山崎の言うように

すぐに皆が集まった


「にゃん!」



紅音に駆け寄る蒼を男が蹴る


「ぶにゃっ!!!フゥーッ!!!」


威嚇する蒼を男が刺そうと
刀を振り上げる


紅音が、蒼を庇うように
間に入る


「俺の家族になる猫と妻に……
刃物を向けるんじゃねぇ!!!」



背中から土方の声がして
振り返る紅音が目にしたのは


自分を庇い、怪我をした土方



新選組は、強く

あっという間に男達を追い払った





「縄を解け!!私の縄を解け!!!」





声を荒げ、慌てている紅音の縄を
沖田が斬る



土方が紅音に微笑み


「紅音!無事でよかっ…」



紅音が土方の両頬を包むと、口づけをした




土方が驚いて離そうとするが
すぐに頭がぼぅーとする





「怪我が… 治ってる…」






沖田が呟いた