柔らかな体が私を包み込む。


背中をポンポンとあやすように叩かれて、私はようやく落ち着いてきた。


愛里は優しく諭すように、私に語りかける。




「美羽のことは、嫌いじゃないよ?

だけどいつまでも私とばかりいたら、彼氏どころか、友達も作れないでしょ?

それに……やりたかった部活を諦めたくないのもあるし……


でもね?行きは一緒に行くし、もちろんお弁当だって一緒に食べる

帰り以外は今までと何も変わらないから……

だから、ね?そんなに落ち込まないで?」




私がわかったと小さく呟いたのを確認すると、愛里は私の腕を引っ張って教室へと急いだ。


愛里にまで恥をかかしちゃいけないと、私も歩調を速める。


なんとか次の授業に間に合って席につくと、みんなの視線が自分に集まっているのに気づいた。


まだ5月の連休明け。


それほど親しいわけでもないクラスメイトの好奇な視線。


横を見ると愛里は気にすることなく私に笑いかけてくれる。


さっきの一件で、目立ってしまったんだと自覚したのは、この時だった。