初恋マニュアル

ものめずらしくてキョロキョロとカフェの周辺をのぞきこみながらふと我に返る。



――ていうか、もしかして私……三浦くんとここに入るってこと!



いまだつながれたままの手に、二人だけのシチュエーション。


恋愛初心者の私には、ハードルが高すぎる。



「あの……み、三浦くん?」



ようやく出した声は、情けないほど裏返っていて……


これじゃ私が三浦くんを意識してることがバレバレじゃないかと、言葉が続かなかった。



「ん?なに?」



だけど三浦くんは特に気にすることもなく、普通に聞き返してくる。



「あ……ここは?」



仕方なくそう聞いてみると、やっと私の聞いた意味を理解してくれたようで。



「あー、わるい。なんも説明しないで連れてきちゃって……って、ごめん!」



私の手をつないだままだったことにようやく気付いた三浦くんは、あわててその手をパッと離した。


つないでいた手が急に離されたせいで、力なくぶらんと落ちていく。


その感じがなんだかはずかしくて、もう片方の手でとっさにキュッと自分の手をつかんだ。