雨は、わりと嫌いじゃない。


新しく買った赤い傘。


それをさすのが楽しみだったりする。


梅雨のじめじめはあまり好きじゃないけれど、しとしとと降る、雨の匂いが好きだった。


その日も雨が降っていて、校庭を使う運動部は、ほとんどが中止になった。


もしかしたら久々に愛里と帰れるかも?なんてワクワクしていたような気がする。



「愛里……今日、雨降ってるけど、部活休み?」



放課後、私はすぐに愛里にそう聞いた。



「あー、ごめん……。外連は中止なんだけど、中で筋トレみたいなんだ」



一緒に帰れると期待してたことを見抜かれたように、愛里はすまなそうな顔でそうあやまってくる。



「そ……っか。あはっ、大変だねぇ?テニス部は」



ショックをかくすように笑いながらそう言うと、愛里も気づかないふりをしてそれに乗っかってきた。



「そうなんだよ!まさか、雨の日までやるとは思わなかったぁ」



ガクッと大げさに机に突っ伏す愛里に、私もテンションを上げながら答える。



「休みの部活もあるみたいなのにねぇ?」



チラリと視線を前に向けながらそう言うと、愛里はニヤリと意味ありげな笑みを浮かべた。