扉の前には『貸し切り』と、丸っこい手書きの文字で書かれていた。


貼り紙の上にはどんぐりのついたリースが、クリスマスっぽく飾られてる。


まじまじとそれをながめる私を差し置いて、愛里が当然のように、こんにちはぁとドアを押し開けた。



「いらっしゃーい、待ってたわよぉ」



早苗さんもまた当たり前のように出迎えてくれて、手伝ってくれる?とクリスマスツリーの飾りを私たちに手渡してくる。



「じゃあ、私はお料理の方、やってくるから、二人は飾り付けお願いね?」



早苗さんはそう言って奥に引っ込んで行ったけど、私はわけがわからなかった。




さかのぼること、8時間前――


私は愛里にせかされて、この辺で一番大きなショッピングモールに付き合わされた。



『夕方からクリスマスパーティーだから、買い物に付き合って?』



ついでに洋服も買っちゃおう?


そう言ってひっぱり出された私は、てっきりそれは愛里の家でやるものだと思ってた。


こないだの愛里の提案では、だれもいないから愛里の家で四人でパーっと女子会をやろう!って話だったから。