「はぁ?綱引きって……団体競技じゃん。それ、全員参加だよ?」



わかってて言ったんだけど……と思いながら、チロリと愛里の顔を見る。



「だって……ほかにないもん」



しょんぼりする私を可哀想に思ってくれたんだろう。


愛里は仕方ないなぁというように、プリントに書いてある競技の中からよさそうなものを選びはじめた。



「まあ、美羽は運動苦手だもんね?じゃあ、そうだなぁ……あ、この借り物競争とかは?」



たくさんある競技の中でもあまり目立たなくて、個人競技のものをすすめてくれる。


人につなぐスプーンリレーとか、みんなで歩調を合わせるムカデ競争なんかは無理だってことをわかってくれてるんだとうれしくなった。



「うん!いいかも!それならなんとかできそう」



いいのが見つかって満足そうにそう言ったのに、愛里はまた私をどん底に突き落とす。



「だったら早く立候補しないと埋まっちゃうよ?ほら、自分で行ってきな?」



こういうときの最近の愛里は相変わらずきびしい。


以前なら行ってきてあげるね?なんて言ってくれてたのに、中学のころがなつかしい。