「美羽……泣かないで?」



愛里の顔を見つめたまま、ずっとがまんしていた涙があふれだした。


だって、愛里も泣いてるじゃん。


私のために真剣に考えて、おこって、悲しんでくれてる。


きっと私が三浦くんに恋してなかったら、愛里は素直に彼に同情してたはずだ。


マンガみたいな恋がしたいって思ってたころがなつかしかった。


恋って甘くてふわふわしてて、幸せなものなんだと思ってたから。


実際はこんなにドロドロと黒い思いがうず巻いてる。


由宇ちゃんたちみたいな、幸せな恋がしたかったのに……


どこでまちがえちゃったんだろう?


羽生くんを好きになってれば、今ごろどんなクリスマスをすごすのかをふたりで計画したりしてたのかな?


そんなずるい感情がよぎる。


好きでもないくせに、楽になりたくてそんな風に思うなんて最低だ。


羽生くんのやさしさに甘えることなんかできっこないくせに。



「愛里ぃ……私、もうどうしたらいいのかわかんない」



泣きじゃくりながら、目の前の愛里に抱きついた。


そんな私をしっかり受け止めて、背中をそっとさすってくれる。